【七月便り】バックナンバー 2019年  中埜有理(なかの ゆうり)   

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七月便り


中埜有理(2019.01.06更新)




 年末年始は那覇で過ごしました。太陽が出ると汗ばむほどですが、曇り空や雨になるとさすがに那覇でも寒いです。そうはいってもコートやダウンジャケットは不要。アパートの中庭、いつもグリーンがみずみずしくて好きです。

 喪中なのでおせち料理は作らず(喪中にかぎらず、いつも作らない)玄米粥と紅芋とゆし豆腐汁とフルーツの朝食。

 銀行でカレンダーをもらってきた。右は沖縄銀行、澄み切った水の珊瑚礁の写真がとてもきれい。左は琉球銀行、例年どおり紅型模様。

 

 休暇中の課題図書(?)は『マリア・シャラポワ自伝』(文藝春秋)。女子の試合はあまり見ないんだけど、ドーピングとセリーナとの確執とディミトロフとの別れの理由を知りたいと思って読んでみた。うまくはぐらかされてしまった。

 モノレールで小禄のベスト電器へ行ったり、おもろまちへ映画を見にいったり。

 大晦日の映画館はなんと貸切状態でした。

 

 元日には波上宮へ初詣に出かける。「国家鎮護」と「萬民泰平」はセットでなければだめだよね。萬民を無視して国家だけ守るなんてとんでもない(安倍自民にいっている)。

 波の上ビーチは平和でした。

 公設市場もお正月は休み。モンドリアン風の色分割で飾られた家。浮島通りにて。



(なかの ゆうり)








七月便り


中埜有理(2019.02.01更新)

 良き友ありて


 友人のmotokoさん宅で新年会。6人のうち4人で。そのうち夫を亡くしたのが私も含めて3人。男の人は早逝ですね。

 薬膳カレーと長芋のグラタンがメイン。リフォームしたすてきなキッチンを見せてもらい、とても便利だというスロークッカーをお勧めされた。料理がどんどん下手になっている私としては肩身が狭い。

 

 私はお酒のお持たせ担当だったので、冷蔵庫に入っていたスペインのカバ――銘柄はNadal(テニス選手とは無関係)――とスペインのオーガニック赤ワイン、それにアサヒビールのお正月バージョンを持参した。

 高校の友人と中野ZEROで新春能『絵馬』を鑑賞。翁と媼が節分の夜、一年の吉凶を占う絵馬を伊勢神宮に奉納する。ところが、なんと翁が掛けた黒い絵馬が裏返し! 真っ黒で馬の絵が見えない。この演目のシテである能楽師の小島英明さんがつねづね言っているように、面をかぶるとほんとに視野が狭くなるのだ。

 途中、後見のもとに裃姿の人が近づき、耳元でなにかささやく。そのちょっとあと、後見がするすると舞台中央に進み出て、絵馬をさっと返して表に向け、すっと引き下がった。

 舞台はなにごともなく進行してゆく。修整能力の高さに感心する。

 前に靖国神社の薪能を見に行ったとき、あとで出てくるシテが装束なしの素面だったので妙だなと思ったら、なんと本来のシテ役者が倒れ、代役だったといういきさつがあった。そういえば、とあとで思い出せば、途中で遠くから救急車のサイレンが聞こえていたのだった。

 

   横浜美術館の「イサム・ノグチと長谷川三郎――変わるものと変わらざるもの」の内覧会に行ってきた。これも学芸員をしている友人がチケットを送ってくれた。

 この6月には高校時代のクラスメイトが計画してくれたギリシャ旅行に参加する予定。落ちこぼれだった私は彼女たちととくに親しかったわけではないんだけど、ギリシャ在住の友人が案内してくれるというので、好奇心に逆らえなかった。どんな旅になることか。



 年末にはテニス観戦を通じて知り合った古い友達の会もあり、好きな選手はさまざまながら、仲良くしている。お菓子作りの得意な年下の友人が手作りのブルマーク入りクッキーをくれた。

 銀座で忘年会のスナップショット。仕事仲間でもあり、高校の同窓でもあり、全員が働く女性たちでもある。

 1月はテニスの全豪オープンを自宅で観戦。時差が2時間しかないので、会社務めの人には見にくい時間帯である。大坂選手の快進撃には大興奮した。ケガで休場明けのナダルの復活もうれしい。決勝でジョコビッチに負けたのは、まあしかたがない。ジョコビッチはマシンのように強かったし。自宅でのテレビ観戦もツイッターで友達とわいわい騒ぎながら見るのが楽しい。SNSがあってよかったと思う一人住まいの高齢者である。

 自分がシャイで、人付き合いが苦手なことは重々自覚しているが、人数は少ないながら、よき友達に恵まれてラッキー!

(なかの ゆうり)








七月便り


中埜有理(2019.03.01更新)



 新宿高野の地下にパフェの店があるんですよ。ついつい立ち寄っちゃいます。これはベリーのパフェ。隣の隣の席で若い男性の2人連れがうれしそうにパフェを食べていたのが印象的だった。

 右上は代々木八幡のベーグル屋テコナベーグルワークスで買ってきた「もちもち」ベーグル。歯医者さんが代々木八幡なので3か月おきにベーグルを買って食べる。袋に入れてくれないのでエコバッグ必携。明治の板チョコはパッケージに惹かれて買ってきた。猫と迷路。可愛い絵葉書は友達がポーランドから送ってくれたもの。もらうとうれしいので、私も外国へ行ったらなるべく出そう。

 ある日の朝食、胚芽パンのトーストにゆで卵とチーズとホウレンソウのソテー。リンゴとコーヒー。私はバターが大好きなので、トーストにバターは欠かせない。

 

 甘夏も好きで、生協のお兄さんに甘夏をお勧めされたけど、その前にすでに注文してました。キャベツとリンゴと蛸のサラダに甘夏とゆで卵。黄色がきれい。

 うちの近所に大成食品という麺工場があって、月に一度、麺の日というのがある。ここの半生麺がもちもちですごくおいしい。だいたいラーメンと焼きそばとパスタを買ってきて、あまったら冷凍しておく。キャベツと揚げ玉と少しの豚肉で焼きそば。これもわがやの定番メニュー。この写真はイカと海老が入っているから海鮮塩焼きそばだな。

 ハンバーグやミートローフが好きでよく作る。このサンドイッチは、中身が見えないけど、ゆで卵入りのミートローフとキャベツが挟んである。牛乳も好きです。

 

   友達の誕生祝いのため、銀座でランチ。ランチのあと文明堂のカフェで苺パフェを食べる。文明堂なので、苺の下にはカステラが入っている。こうして見ると、甘いものをすごく食べてるな〜!

 誕生日の友人に贈ったブーケ。可愛いのじゃなく、大人っぽくして、と注文したんだけどな。

 猫あつめをゆるゆると再開した。ポケモンは中断したまま。このエッセイに書くネタがあまりないので、申し訳ない。せめて「ごめん寝」

(なかの ゆうり)








七月便り


中埜有理(2019.04.01更新)



 上野西洋美術館の「ル・コルビュジエ」展を見てきました。思ったよりもずっと興味深く、面白い展覧会だった。コルビュジエが提唱した「新しい建築の5つの要点」(ピロティ 、屋上庭園 、自由な平面、水平連続窓、自由なファサード)は「近代建築の五原則」ともいわれます。どれも、いまでは多くの建築物に当たり前に備わっている機能だけど、石を積み上げて壁を造り、太い柱を四隅に建てる重厚な建築からすると、画期的な発想の転換です。もちろん技術の革新なしにはこの要点は実現できません。

 柱を四隅に建てずにすむようになって、風通しのよい広々とした空間が手に入った。屋上庭園という発想も、上空から見るという体験なしには得られなかったはずです。飛行機の発達が人の意識を変えたのでしょう。屋上庭園は、いまや都市景観やエコロジーにもつながります。先進的ですね!

 もうひとつ、この展覧会では関連する作品としてキュビスム芸術が取り上げられていて、それも興味深かった。

 4年ほど前にパリでアパルトマンに滞在したとき、2軒先に「ル・コルビュジエ財団」があったのです。あとで調べたら、旧自宅で、いまは一般に開放し、コレクションの絵画作品なども見られるとのこと。この次パリへ行ったときは、ぜひ立ち寄りたい。

 

 3月半ばに那覇へ行ってきました。羽田空港で玉子焼きサンドというのを見かけたので買ってみました。和風の厚焼き玉子をパンにはさんだもの。私としては、ゆで卵のサンドイッチのほうが好みでした。

 那覇では、長く読みかけで置いといた『アウステルリッツ』(ゼーバルト著、白水社)を読了。いわゆるホロコーストものですが、独特の美学に貫かれた作品で、ヨーロッパ各地を歩きまわる建築愛好家の主人公アウステルリッツの人物造形がとてもユニークでした。

 幼年時代の回想から、わが子を疎開に送りださなければならなかった母親の悲嘆。読んでいるだけで、胸が塞がれる思い。どこかのバカの「アウシュビッツなどなかった」発言に猛烈に腹が立つ。

 沖縄の青空、強い日差しに透き通った葉っぱが腹立ちを収めてくれます。

 

  東京に帰ってきたら、すぐに桜が咲きました。

 友人たちとの会食でシュラスコ・レストランへ行ったのですが、肉だけでなく、生のパイナップルを串に刺してあぶり焼き、ナイフで削いでくれる。焼きパイナップル、なかなかおいしかった。 

(なかの ゆうり)








七月便り


中埜有理(2019.05.03更新)



 アエロフロートに乗るのは初めてで、ちょっと不安だったんだけど、思ったよりずっと快適だった。ビールもうまい。文字がまったく読めないのが不思議な感覚だけどね。

 機内食もそんなに悪くない。前菜に寿司まであるし。サフランライス添えの白身魚がとてもおいしかった。

 トランジットでモスクワ初上陸! 到着ゲートから、乗り継ぎゲートまでおよそ30分も歩いた。遠い! 水のラベルも読めない。カプチーノは世界共通だった。

 

 マヨルカ在住の黒木夫妻に案内してもらって、マヨルカの古都シネウへ。風車のあるレストランでマヨルカ料理を食べる。

 風車の下の部屋、石を積んだ壁が独特の雰囲気ですてき。

 お米やカタツムリやアーティチョークや、いろんな野菜を煮込んだスープ。雑炊という感じかな。初めて食べた料理。

 

   マナコールの八百屋の店先。メイデーで市場は休みだったけど、このお店は営業中。アーティチョークのシーズンとのことで、この辺で取れる小ぶりなのが山積みされていた。すごく安い。

 オレンジやスイカも。

 グーグル先生頼みで開いているパン屋さんを見つけ、名物のエンサイマーダをゲット。マヨルカに来たらこれを食べねば。

(なかの ゆうり)








七月便り


中埜有理(2019.07.13更新)



 パリでの楽しみは、年に一度ここでしか会えないテニス友達と久しぶりの逢瀬を楽しめること。今年もロランギャロス近くのレストランでごはんを食べながらおしゃべり。楽しいひととき。写真奥からレタスのサラダ、フレンチフライ、カラマリ・フリット(イカのフリッター)、春巻き、ビーフタルタル。

 パリのビールは定番の〈1664〉。

 全仏会場のラウンジで供される料理はおしゃれすぎて、味の予想がつかない。この写真はケーキではなく、トマトの中にツナサラダのようなものが詰めてある。

 

 ギリシャで美味しかったのはフレッシュジュース。オレンジジュースがすごくおいしい。これはミックスジュース。

 ギリシャの名産品、フェタチーズのフライ。フェタは山羊のチーズです。

 ギリシャ風サラダ。トマト、キュウリ、オリーブなどのサラダにフェタチーズをのせたもの。旅行中なんども食べることになった。

 

   ギリシャ・ヨーグルト。グラノーラを混ぜ、蜂蜜をかけ、新鮮なフルーツをのせ、とトッピングを増やしていったら、こんな量になった。

 ガンバス(海老)の塩焼き、レモンがオレンジ並みに大きい。

 ギリシャのビールは〈アルファ〉。

 

   ベルリンでおいしかったもの、スイカとプレッツェル。ちゃんとしたレストランへ行かなかったことがばればれ、

 ロンドンは相変わらず日本食ブームだが、ネタが肉系のこの握り寿司はいまいちかな。

 ウィンブルドン会場で食べたフィッシュ&チップス。大きくて1人ではとても食べきれない。



(なかの ゆうり)








七月便り


中埜有理(2019.08.10更新)



 この7月は観劇や展覧会に出かけて忙しかった。何か月も前からチケットを取ってあるので、日程が固まっちゃうことも多いんだよね。恒例のマシュー・ボーン。来日するたびに見にいく。今回は原点ともいうべき「スワン・レイク白鳥の湖」。白鳥なのに黒人ダンサーが演じるとはこれ如何にだが、それも含めて男性ダンサーの群舞は迫力があって美しい。

 エイフマン・バレエは演目の「ロダン」に惹かれて見にいった。生きている人体を彫刻に見立てる振りつけがおもしろかった。ロダンが粘土で塑像を作っているところ。腕をこねくりまわすところが、ほんとに粘土をいじっているみたい。

 エイフマン・バレエはペテルブルクを拠点とするロシアのバレエ団。もう一つの演目は「アンナ・カレーニナ」で、そちらはパスしたのだが、アンナが投身自殺をするシーンでは、群舞が列車をあらわすとのこと。

 

 梅雨空のもと、前から行ってみたかった横浜の三溪園へ出かけた。蓮の花を見る会は土日の早朝だけらしい。蓮池にはちらほらと花があった。蓮の花の造形はほんとうに見事だ。

 睡蓮も少しだけ咲いていた。

 湿気の高い日本独特の苔の庭。目には快いが、猛烈な湿気にまいる(写真ではこのじめじめ感は伝わらない)。

 

 紫陽花はそろそろ終わりかけ。枯れた花の風情もいいものです。

 ほうずき、赤くて可愛い。

 三溪園からみなとみらいへ移動して、横浜美術館の「原三渓の美術」展を見に行く。ほんとうはこちらがメイン。孔雀明王が後半期は展示替えで見られなくなるので、7月中に出かけたというわけ。

 

 横浜美術館のカフェ小倉山ではいつもパフェを食べるのだが、今回は日本美術にちなんで和風の抹茶アイスあんみつを食べた。

 友達とごはんも食べにいった。いつもの下北沢のカジュアル・フレンチで前菜のコロッケ。いろどりも美しい!

 別の友達と渡辺健のブロードウェイ・ミュージカル『王様と私』。アジア人に対する思い込みに憮然とするところはあれど、それも歴史の一部ではある。健さんはかっこいい。クライマックスで思わず爆睡してしまい、友達に「最後どうなったの?」と訊く始末。

 

 高橋大輔の「氷艶」を見にいく。ランビエールの朱雀帝がめちゃくちゃかっこよく、ユリアちゃんの紫の上も可愛いが、主役は紫の上ではなくむしろ桐壷/藤壺であることから、マザコンの光源氏という設定ができあがる。原作とはかけ離れているが、まあそれはそれ、大ちゃんは大ちゃんということで、台詞、なま歌、ラブシーン、ワイヤーアクションと盛りだくさん。

 吉祥寺の小さな映画館に『マイ・ブックショップ』を見にいく。本好きの若い女性が書店を運営しようとがんばるが、地位と権力をもった人物に嫉妬され、妨害されて店を手放さざるをえなくなる。苦い結末だが、本好きの精神は引き継がれて、小さな(ほんとに小さな)希望だけは残る。

 那覇にも変化があり(というか、那覇はみずから変化を招きたがるふしがある)、公設市場は立て替えのために移転。

 

(なかの ゆうり)