【七月便り】バックナンバー2000年  中埜有理(なかのゆり) 2003年2002年2001年はこちら



七月便り (1999.12)

 アクション・サスペンスの翻訳を終えました。原発開発をめぐり、政府と一流企業と暴力団が絡み合う陰謀の物語。

 主人公が原発のビジターセンターへ見学に行くシーンで、担当編集者Y氏のチェック。
 「これ、おかしくないですか?」
 原発の模型が展示してあるところ。
 「実物大の模型……あっちゃー! すいません」
 「いや、あってもいいんですけどね」

 原発関連のミステリーということで、去年サントリーミステリー大賞を受賞した高嶋哲夫『イントゥルーダー』(文藝春秋)を読みました。天才コンピュータープログラマーってかっこいいです。あの息子が死んでしまうのは残念ですね。父子でコンピューター犯罪をびしばしやっつけるような作品も面白いかも。 受賞後第一作の『スピカ』(宝島社)をいま読んでます。



七月便り (2000.1)

お正月は原発のアクションミステリーの校正。ガイさん(著者ガイ・スタンリーの日本デビュー作なので責任重大。タイトルがまだ決まらない、うーん。

 日本の変な慣習……ってことで、ガイさんから聞いた話。ある女性にお世話になったお礼に花束をプレゼントしたら、間髪を入れず、カタログで品物を選べるギフト券というのを「お返し」されたんだそうです。
 「あれは、へんだよー」といってました。



七月便り (2000.2)

原発サスペンスのタイトル決定。
「偽りの原子炉」TOKIO――Nuclear Nigthmareガイ・スタンリー著、中埜有理訳、2月に毎日新聞社より刊行!

この牧人舎ホームページのキャラクター「ココペリ」を発見!
藤原紀香の新著がその名も「KOKOPELI」・・・ココペリ! 写真も出てます。



七月便り (2000.3)

このあいだスクランブル交差点を渡ろうとしたら、向こう側になんだか黒っぽい異様な物体がぐにゃっと小山をなしている。

 「……?」と眺めていたら、不意にその物体が大阪の食い倒れ人形みたいにふにゃーっと立ち上がるではないか。

 なんと、その正体は全身黒で固めた若い細身のお兄ちゃんが厚底ブーツでコケていたのだった!

厚底ブーツの被害をナマで見て嬉しくなったある日の午後。



七月便り (2000.4)



3月某日、天王洲のレストランで『偽りの原子炉』の出版記念パーティへ。

著者のガイさんは日本での初の翻訳出版なので、はりきってます。挨拶もメモを見ながら流暢な日本語で。

白いデカパンはkonisikiのパンツ。もっているのは、ガイさんのお友達で小説の資料集めや調査に協力してくれたお友達のハリスさん。

 翻訳者はふだん家にこもりっきりで、出版記念パーティなんてめったに縁がないけど、たまのパーティでウキウキ。

 でも、仕事もしてます。『ささやかだけれど、大切なこと』の続編、Little Book of Hope を翻訳中。

七月便り (2000.5)

 友達にAIBOの写真を見せてもらった。あと10年もしたら、ロボットぺットや介護・家事ロボットが町にあふれて、野良AIBOや捨てファービーがそこらに出てくるんじゃないかと心配(とりこし苦労)。

「忠犬」

「ロボ公、おまえはほんとに賢いな。子供や孫よりずっとかわいい。文句もいわず、いつもそばにいて、俺のすることをじっと見てるんだな。そんなに俺のことが好きか?」
「わん!」

「最近、お父さん、どう?」
「うーん、そろそろ様子を見にいかなきゃいかんな」
「同居はしない、ひとり暮らしをするっていいはるから」
「それもこれも優秀な家事ロボット犬のおかげだぞ。昔なら、長男の嫁が面倒みなきゃいけないところだ」
「なによ、あなただってお父さんへの連絡はメールばっかりじゃない。電話もしないで」
「電話だと寝てるところを起こしたりするじゃないか。メールのほうが何度も読み返せるし、便利なんだよ」
「何度も読み返したくなるようなメール書いてるの? 季節ごとの例文をそのまま使ってるだけじゃない。暖かくなりましたね、だの、桜が見頃ですね、だの、桜も散りましたね、だの」
「いいんだよ、返事だって、元気ですとか、変わりありませんばっかりだから」
「で、返事は来てるの?」
「ああ、毎日同じ文面だけどな」

毎朝6時、コンピューターはタイマーで電源が入る。いつものとおり、通信ソフトを起動し、メールを受信し、返信のキーが押される。ただしキーを叩く音が妙に甲高い。プラスチックと金属のふれあうカチカチという音。
「メールは無事送信されました」
「わん!」

七月便り (2000.6)

ネット占いばやりですね。「動物占い」は「サライ」にまで紹介されてて、いよいよ中高年をターゲット? 続いてぞくぞくと占いサイトが登場(情報としては少々古いですが)。

回転すし占い
http://kodansha.cplaza.ne.jp/


花&昆虫占い
http://www.shueisha.co.jp/uranai/
 終了!

家電占い
http://www.iris.dti.ne.jp/~ttoyama/kaden/


どれもインターネットで、無料で、しかもクリックしただけで結果が見られるお手軽感がいいですね!(しかし、二匹目のドジョウではある、な)

占いの内容は、当たっているような、いないような……花占いで、私はガーベラ。「行動力抜群で流行に敏感。洗練された都会的なセンスを持つフェロモン女」って、これは嘘だと思うな……逆さに振ってもフェロモンは出てないと思うぞ。

七月便り (2000.7)



大阪・天王寺のジャンジャン横丁はオヤジ天国。

「オヤジぎゃる」の私にとって、心のふるさと、かな?
写真はふぐ専門店「づぼらや」――名前がいいじゃない。

近くにノンキ屋という店もありました。づぼらでノンキ。

均一化された日本にも、まだ地方色って残っているんですね。沖縄なら「てーげー」屋、東京なら「おっちょこちょい」屋かな?

通行人のスタイルも見てください。自転車を猛スピードで走らせている
おっさんが多かった。通行人のあいだを縫ってスイスイと。

ジャージー、Tシャツ、開襟シャツ、それになんといってもサンダル! ホルモンの店や立ち飲みの店……まさに「じゃりん子チエ」の世界。

しかも、てっさ(ふぐの刺身)が1600円、唐揚が850円。超安くて感激!

七月便り (2000.8)

路上観察学会に入りたい!

私は町をぶらぶら歩くのが好きなんだけど、ポケットサイズのカメラ、キヤノンのイクシーを手に入れてから、おもしろいもの、変わったものを写真を撮るのが趣味になりました。というわけで、沖縄の粟国島へ行ったときの発見物を紹介しましょう。
マンホールのふたにソテツの絵。この島には昔からソテツの木がたくさん生えていて、ソテツ島とも呼ばれたんだって。いまは海水を天火干しで作った「粟国の塩」が有名。同じ沖縄の離島、波照間島ではマンホールのふたに南十字星と天文台の絵が描いてあったっけ。いくら名物でも「塩」の絵は……うーむ、描けないぞ。
石を丸くくりぬいたのはトゥージといって、天水をためる容器。昔は水道もなくて、不便だったのね。
お庭で栽培されていたゴーヤ。苦瓜(にがうり)とかレーシとも呼ぶ。黄色くなっているのは、熟れすぎたもの。

ゴーヤはチャンプルーが有名ですが、1ミリくらいに薄く切って、ジャコ、小柱、小エビなど、好きなものを1つか2つ、シンプル合わせてカキアゲにすると美味。苦味がいやな場合は塩もみするか、さっと湯通しすると苦味が抜けます。

そうそう、粟国島は映画『ナビィの恋』の舞台になったことでも知られてます。この映画お奨め。島の風景は美しく、ナビィはかわいらしく、サンラーはかっこいい。なかでも、恵達を演じた登川誠仁がサイコー! ただし、3人とも70過ぎ。


七月便り (2000.9)

今月の路上観察――というより、屋内観察?

波照間島の獅子舞で使われる獅子頭。目玉焼きのような目と斜めに覗かせた舌がお茶目。歯並びはきれい。
アイスパイン(アイスバイン=ドイツ料理=豚足、ではない)に、やしの実ジュース、生ウコン(読み間違えないように)にちんすこう。島バナナも吊るしてある。ハイビスカスの花咲いていて、じつに沖縄!
八重山そば。つゆは鰹ダシ、麺は丸く、「そば」といっても蕎麦とは大違い。ラーメンだと思うべし。後ろの八重泉の瓶は、昼間から酒盛りというわけじゃなく、泡盛に島唐辛子を漬け込んだコーレーグースという調味料。沖縄そばには欠かせません。好みで七味か、ヒバーチを振ってもよし。ヒバーチは八重山でとれる木の実から作った調味料で、胡椒のような風味。かまぼこ(これも八重山名物)と豚肉と紅ショウガとワカメがのってます。

七月便り (2000.10)

9月のおでかけ――東京・港区編

通称プラチナ・ストリートの有名なカフェ、BLUE POINT(ブルーポイント)。シロガネーゼ御用達のランチスペース。この日もお子様づれの若いおしゃれなママや外国人のママ&ベビーを見かけました。スナップ写真とってる私はカネガネーゼ(おやじギャグでごめんね)。
プラチナ・ストリートってのは白金台の白金にかけているんでしょうが、もともとこのへんは今里町とか三光町とかいってたんだけどな。BLUE POINTの隣はLA BOHEMというカフェ。ここはほんとに日本か?
造形作家できやよいの「ちょうちょう展」オープニングへ。表参道のリトルモア・ギャラリーで。ピンクとブルーのマネキンが作品です。

七月便り (2000.11)

山下公園前の銀杏の並木道を歩くとニューヨークのセントラルパーク・イーストを思い出す──なんちゃって気取ってみたが、じつはニューヨークには一度しか行ったことがない。ここの銀杏の葉が黄色になると、とてもステキ。
山下公園にあるインド式水飲み場。中に蛇口がある。ただし、水は出ない。その天井のモザイク画。写真では小さくてわからないけど、すごく色鮮やかできれい。今月は路上観察というより、ただの観光記念写真ですね。

七月便り (2000.12)

11月の路上観察――疑問編

「カエルつかめる?」アンケート以来、カエルが気になる。見つけた、このカエルならつかめるぞ! だけど、チタンテープってなに? それと、コルゲンの語源ってなにー?
代々木公園で見た謎の二人づれ。これがいわゆるひとつのコスプレってやつ? これからどこへ? 右手前のおじさんの後姿はなにを思う?
ポストはなぜ赤い筒型から四角に変わったんですか? ポストンくん教えて!